サブプライム後のアメリカの就職状況

サブプライムローンに端を発する不況はアメリカだけで840万人もの人の職を奪いました。その中には、管理職や経営幹部として勤めていたのにクビになった人もたくさん含まれています。

それだけ解雇された人がいるのならば、いい条件で優れた人材を探すには最高のタイミングではないでしょうか。

業績が回復する中、優れた人材を採用しようとするのは当然のことであります。
しかし優れた人材を獲得するには運というものが必要になってきます。なぜなら成長に弾みをつけるための能力をもっているプロの人材はその中でも一握りだからです。

それで、なかなかポストが埋まってはいません。

また、同時に企業は従来の組織やビジネスのあり方を揺るがす大きな世界経済の変化というもうひとつの現実にぶつかっています。職探しに苦労する元中間管理職たちをしりめに今必要とされている人材は優秀な科学者、技術者、コンピューターオタクなどということです。

それらの職種は人材不足になって給料が上がっています。

なぜ、優秀な科学者とうとうが重視されるのでしょうか。なぜなら物流管理やバイオテクノロジー、医療、ITといったウェブベースの専門職の台頭により技術者に対する求人が急増しているからです。

管理職に求められる能力も変化しました。オラクルのデータベースやJavaといったビジネスツールを操るだけでは今では不十分です。国際的な経験や、語学力、順応性それらをつかい異文化のチームを率いる能力が求められています。だから当然、それらの高度な欲求に合致する人材は「供給不足」であるのが現実なのです。

発展が進む新興企業では人材不足が先進国以上に深刻です。毎年、中国には5万社を超える外国企業が進出していますが、現地のトップクラスの人材をかれらは洗いざらい採用しています。いずれ足りなくなるるのは目に見えていることです。同じことがインドでも言えます。

例をあげましょう。中国にいる130万人の若い技術者のうち外国企業が求める能力をもつものは16万人ほどだけです。また、インド人は事実や技術的な問題を詰め込むのは得意だが、理論的な技能、交渉、政治的な駆け引き、チームプレーは苦手だと米ダートマス大学経営大学院のビジャイ・ゴビンダラジャン教授は言っています。

そのような中、状況を打開しようとインドでは多くの大企業が自前の人材育成に取り組んでいます。大学を作り未来の幹部を育てようとしているのです。

今求められているのは外交センスを持った人材、例えば現地の人々と距離をおくことなく国境を超えるノウハウがある幹部社員のような人です。
世界のあらゆる場所から優れた人材を見つけ出さなければならない時代に突入しています。