死神の精度 感想

この男はクールだ。死神という特性からなのだろうが死というものに対して彼は何の感情もいだいていない。
悲しいとか寂しいとか苦しみを感じない。
ただただ純粋に人の生というものに対して向き合っている。

本の紹介 Amazon.CO.JPより

内容(「BOOK」データベースより)
CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない?そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

小説というものは学者以外は読んでいる間読み終わったあとに心に充実感が残ればいいものだと私は考えている。
何かの知識が得たいのなら実用本を読めばいい。
ただ、エンターテイメントとして存在すればいい。
そういった面からみてこの本は100点合格を与えられるだろう。読む価値はある。
短編集ではあるが各短編にはつながりがあり、前の話で出た事柄があとで関係してきたりすることもある。各話は独立しているが全体として一つのお話といった印象を受けた。同著者の作品のキャラクターも出演しているらしい。

語られる人間たちの題材も皆違った展開を遂げる。ミステリーから芸能界デビューまで。1週間という期間のおかげで話がテンポよく進む。ページをめくる手も急ぎ足になる。

物語に引き込まれる。

改めて伊坂幸太郎という作家が好きになった。ハズレがない作家である。