事業仕分けの対象にもなった次世代コンピューターの名前が決まった。
それは、「京」である。
実を言うと、少し前の7月5日には発表されていた。ではなぜ今になって取り上げるのかというと、その選考過程の候補の名前が明らかになったからである。「京」には、実際は7票しか送ってきた人がいなかった。それであるのに他の有力候補を押しのけて当選したわけである。それならば、得票数で上回ったにもかかわらず落ちた候補を知りたいと思うのは当然のことだろう。
では、まず「京」の選考理由と選考過程を公式ホームページから引用する。
■選定結果
愛称: 「京」(けい)
英語表記 “K computer”
※今後、理研は次世代スパコンを京速コンピュータ「京」 と呼びます。
■選考理由
☆「京」は、開発目標性能の10ペタを表す万進法(注)の単位で、ほかの科学技術分野の名称・愛称に多く用いられるものと重複がなく、「単位」で表現するという新規性を評価。
☆漢字一文字とシンプルで分かりやすく、ロゴデザインもしやすい。
☆外国人も発音しやすい。
☆日本人は漢字に意味を込め、語呂や響きを大切にする。日本的な漢字と数学(単位)が重なっている点がよい。
☆歴史と未来が同居する言葉。「京」はもともと大きな門を表し、「計算科学の新たな門」にもつながる。
☆次世代スパコンは、すでに計算科学のコミュニティでは、京速(けいそく)のコンピュータとして「京(けい)」にはなじみがある。
注)万進法 4桁(万倍)ごとに単位を区切る方式。
■選考方法
◆ 第一次選考
システム開発を担当している次世代スーパーコンピュータ開発実施本部(野依良治本部長)および運用を担当する計算科学研究機構設立準備室の職員38名による無記名投票で、評価点上位10件と応募数上位6件(二桁の応募数があったもの)を合わせた14件(2件は重複)を第一次選考通過としました。
◆ 第二次選考
ノンフィクション作家の山根一眞氏を委員長とする「愛称選考委員会」において審議を重ね、2件に絞り込み最終候補としました。<愛称選考委員会 委員名簿(敬称略)>
委員長 山根 一眞 ノンフィクション作家、獨協大学経済学部特任教授
委員 阿部 穣里 首都大学東京 大学院理工学研究科JSPS特別研究員高田 章 旭硝子株式会社中央研究所特任研究員
土居 範久 中央大学研究開発機構教授
平尾 公彦 理化学研究所計算科学研究機構設立準備室長
舟橋 徹 文部科学省研究振興局情報課長
谷内江綾子 慶應義塾大学医学部助教
横山 広美 東京大学大学院理学系研究科広報・科学コミュニケーション准教授
米林 雄一 前東京藝術大学美術部彫刻科教授
渡辺 貞 理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部プロ ジェクトリーダー
◆ 最終選考
次世代スーパーコンピュータ開発実施本部の最終決定機関である「本部会合」で最終候補2件のうち1件に決定しました。
以上である。なかなか考えてつけたのだなという事がわかる。
それで、他の候補であるが、分かっているのは「レンホー」「REN4」など多数あった蓮舫氏にちなむ愛称があったことだけだ。どうやら調べてみたが公開されていないようである。残念だ。
最後に今回の参考記事を書いておく。参考にして欲しい。
asahi.comの記事。
理化学研究所の記事。
RIKEN 次世代スーパーコンピュータの開発・整備の記事。
次世代スーパーコンピュータについての記事。