ジェール・ヴェルヌが描いた横浜 「八十日間世界一周」の世界を読んだ

八十日間世界一周 (岩波文庫)

八十日間世界一周 (岩波文庫)

先日、「八十日間世界一周」という本を読んだ。この本は、「海底二万里」や「月世界旅行」などの冒険小説で有名なジェール・ヴェルヌの作品にして彼の最大のヒット作品である。まだ世界一周を三ヶ月ですることさえも難しかった1872年にあって、英国紳士であるフォッグは同じ「改革クラブ」のメンバーと大好きなトランプゲームの最中に議論となり、世界一周を八十日間でするという賭けをすることになる。そして、彼は自分の召使いになったばかりであるパスパルトゥーと共に旅にであることになるという話だ。旅の最中、様々な困難がつきまとう。運悪く船に乗り遅れたり、さらわれたパスパルトゥーを助けるために時を使い、自ら救出に向かったりとまさに波瀾万丈である。本当に、賭けに対してフォッグは勝つことが出来たのか、その真相はあなたの目で確かめて欲しい。僕が読んだバージョンは、岩波文庫であるのにもかかわらず、装飾華美な文体などの堅苦しさが無く非常に読みやすい訳文。さらに読者を飽きさせないための作者の工夫によって、中学生くらいの子供でも興味が持ちやすい作品となっている。是非とも一読あれ。


さて、記事のタイトルに挙げた本は、横浜開港150周年に合わせて行われた「八十日間世界一周」の演劇の前に掲示された「八十日間世界一周」にちなむパネル展示の内容を補足しまとめたものである。「八十日間世界一周」の中では当時開港間もない横浜のことが書かれており、そのことについてもこの本では触れられている。また、日本で初めて「八十日間世界一周」を翻訳出版した会社である慶應義塾出版社からこの本が出るということも何かの縁ではないだろうか。


本の中ではまず作者であるジェール・ヴェルヌと「八十日間世界一周」について書かれている。その後、「八十日間世界一周」で描かれた横浜のことについて触れられている。横浜のことについては、作中に登場した建物や地名などを当時の地図を参考にしながら登場人物達がどのようなルートをたどったのかが書かれている。その中には、今では跡すら残っていないものや当時の姿を思わせる物などがあってずいぶんと変化しているのだなと時代の移り変わりを感じた。


「八十日間世界一周」を読んだ人ならばきっと楽しめるはずだ。「八十日間世界一周」本文で描ききれなかった横浜の姿をより詳しく知ることができるので参考資料として持っておいて損はないだろう。末尾の「八十日間世界一周」の関わる文献一覧も参考になった。厚すぎず適度の長さであり、専門書というよりも一般の読者を対象に書かれているので特別な知識がなくとも読むことが出来るのは有り難かった。


最後に僕の横浜の思い出でも書いておこう。横浜には新潟に住んでいたとき観光旅行で何度か行ったことがある。未来科学館でアシモを見たり、氷川丸に乗ったりもした。その中でも、一番の思い出はやはりコスモワールドだろう。コスモワールドは遊園地なのだが、そこにあるジェットコースターを鮮明に覚えている。最後、大穴に吸い込まれるように真っ逆さまに落ちていくところが恐ろしかった。結局、乗ることになったのだが最後よりもむしろ登り切った上から下を落ちる方が怖いということに気づいたのは乗っている最中だった。一瞬の穴へのダイブよりも長い落下の方が怖いと言うことだったのだ。そのぐらいだ。高校時代に修学旅行でも行ったが平日で人が少なかった。経営状況大丈夫なのだろうかと心配もしたが、人数の少ない園内を貸し切り状態で遊べたのは素晴らしすぎる思い出であった。

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