ブルーバックス、藤岡換太郎著「山はどうしてできるのか」。
さて、いつ以来か分からないが、書評を書こう。それも専門の本である。
この本は、タイトル通り、山はどうしてできるのかについて書いてある。その答えは始めに言うと、P116以降を見ればいい。
しかし、P116以後の山の出来方の説明である、断層運動や付加体、大陸衝突また富士山のような火成活動、花崗岩や石灰岩の山などを楽しく正しく理解するためには、始めから読んだ方がいいだろう。
山の高さの基準や山がどのようにしてできたとかつて考えられていたのか、つまり地質学の発展を見ていくわけである。そして、P116の少し前で、現代地質学を象徴する大陸移動、そしてプレートテクトニクス、プルームテクトニクスについて学ぶ。この組み立てにより、中学の時にちらりと触れ、おそらく高校でさらりと流された地学の知識を得ることができる。
なにげなく私たちの周りにある山々が、断層や大陸移動と言った大きなスケールで形成されたのを知ると、必ず読者に驚きをもたらすだろう。
特に付加体の概念はここ2、30年で確立されたものである。プレートにのって移動してきた堆積物や玄武岩、石灰岩が大陸の縁で滑り込む際にくっつけられ(付加される)、大陸が成長するなんてね。ちなみに日本列島のかなりの部分はこの付加体であったりする。地質をかじっている僕から見てもよくこんなことを考えついたよなと感心してしまう。
この本を読むことで、山だけでなくて地質全般について知ることができ、しかも非常に読みやすい。これは必読の書であると思う。
山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)
- 作者: 藤岡換太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/01/20
- メディア: 新書
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