アニメで多人数を登場するときの背景の人の動きあるいは静止 

アニメでは,基本的にはキャラクターを限定させることで一画面に出てくるキャラクターを減らしています.その最も顕著なのが,シャフト演出というか新房昭之監督作品で見られる人物のアップを多用するものです.

これは,演出的なこともありますが,複数のキャラクターを同時に動かすのが大変だからという理由もあるでしょう.一人が手を振っているのを作画するのと,10人が同時に手を振っているのを作画するのでは後者のほうが手間がかかります.

しかしながら,極めて複数のキャラクターを同時に登場させる必要がある場面が出てきます.例えば,繁華街での雑踏シーン,戦場でのシーンなどです.そういう場合どうしているのかというのがこの記事の内容です.

1. 全て静止画

メインのキャラクターも含めて,静止画にしてしまう.これは,一枚絵の細かい部分まで書く手間はありますが,動かさなくていいので他の方法に比べて楽という方法です.静止画を音楽を流しながら数枚連続で切り替えることで,時間を数十秒単位で稼げます.ただし,連続で静止画を出していると視聴者が飽きてきます.しかし,ノベルゲームをしている人は,この手法に対して理解があるでしょう.

2. 背景の人たちは静止させる

つまり,後ろで歩いている子供連れとか,サラリーマンとかの人は背景と同一化させてしまうというものです.背景以外のキャラクターは動かします.つまり,デートしている場面では男の子と女の子が話しているあるいは動いている描写が作画されますが,周りは静止しています.

この手法は多用されていると思います.さらに,この手法はメインのキャラクターたちを交代で動かすか同時に動かすかに分けられます.交代で動かす場合には,Aが動き,その後Bが動くみたいな感じです.

この手法の問題点としては.周りの人たちが長時間静止していると視聴者に著しい違和感を与えてしまうというものです.

3. 背景の人も動かす

これは現実世界が反映されている手法であります.背景の人が多いか少ないかなど場面によってかなり差があります.少ない場合では,この手法が使われることがあります.例えばカフェの外のスペースで話をしている二人の横を,通行人が通って行くとかが考えられるでしょう.

この手法では,近年CGが使われることが多くなっています.魔弾の王と戦姫の戦場のシーンでは背景のキャラクターをCGで動かしていましたが,背景の人全員が剣を上げては下げるを同時に繰り返すという極めて前衛的な場面になっていました.

結局似たような動きを複数のキャラクターにさせても違和感がない場面(規則正しく並んで複数人を歩かせるなど)では単純なCG作画の効果が発揮されますが,全員に異なる動きが必要な場合,手での作画の時と労力的にはあまり変わらないのではと思います.Aは剣を上げて振り下ろした.それをBがガードした.その隣のCはAに飛びかかったが,後ろからDに刺されたといった感じに場面と動きを作らなければならないわけですから.モーションを使いまわせるとか物理判定などの手よりもCGのほうが利点がありますが,圧倒的に早いということはないのではと思います.

まとめ

これらの手法は,金と人材と時間,そして演出という要素によって選択されます.CGを使う場合も時間があって,細かくいじることができれば違和感のないものができるのでしょうが.まだそこまではたどり着いてはいません.アニメ映画は除く.

ここらへんはアニメの今のところの限界であります.いわゆるキャラクターがキャラデザから崩れずに絵的に綺麗になったTVアニメの次のステップとしてより現実に近づくことが求められるかもしれません.

しかし,必ずしも現実に近づけるという手段が正しいとは思いません.アニメの良いとしてシンプルさがあるでしょうから.