広く浅くのやるせなさ

広く浅くなにかについて学びたいのならば新書とか実用書とかだけを手当たり次第に読めばいい.しかし,結局ある分野について一冊そういう本を読んだとしても知ったかぶり位にしか使えない.誰かと話す話題にくらいならばよいが,少し詳しいところになるとぼろが出る.

そこから脱するには,一点に注目して深く探索するしかない.あるいは,手はわりあい広いがそのかわりかける時間やコストを増やすかである.

ある分野でかなりの部分まで理解できるようになれば,その周辺にも手を広げられるようになり,学習も早い.一流の大学に通って人間は,そこに至るまでにかなり基礎ができているので,深部まで到達しやすいし,また他分野にも挑戦しやすい.

いきなりすべてについて詳しくなろうとするのは頭が元から良いか,それまでに基礎ができているかしないとだめで,そうでないひとで何かについて異様に興味が出たときはコストと時間をそのことに集中させ,少しずつでも,たまに投げ出してもいいので取り組まなければならない.

そもそも浅い知識だけで満足できる人はいるかもしれないが,それは研究を少しでもやったことのある人からしてみれば,浅い知識について詳しくなれても物足りない.研究はやればやるほど視野が広がり楽しさが理解できてくるものである.

ここ数年は積み木を積み上げて,上へ伸びているイメージの元で生きている.