さくら荘のペットな彼女2 書評

青山七海がさくら荘に引っ越してきた! 一方、空太はゲームの企画オーディションに臨む。天才と凡人がつくる物語が始まる。

今回は1よりも、さらにおもしろかった。最後まで一気に読んでしまった。決して派手さはないが、人間ドラマとしては良くできていると思う。さらに、三年の先輩たち二人、美咲と仁が卒業という期限に向かっていく様子が書かれていた。これによって、高校生活もいつかは終わるという感じを持つ事ができ、時間の経過を登場人物たちの視点で感じる事ができた。

ただ、空太は七海をもう少し早く気遣って、行動すればいいのにと思った。いくらなんでも、いずれは倒れるような労働をしているのに倒れるまで放っておくのは少し身勝手ではないだろうか。そして、それは美咲と仁にも当てはまると思う。

読み終わってから、高校生活をもう一度体験してみたくなった。あの頃が懐かしいなとノスタルジーにひたってしまうことは請負だ。

この巻でもやはり天才と凡人の差ということに焦点が当てられる。決して主人公は天才ではない。むしろ凡才だ。だからこれからも傷つくだろうし、挫折もするだろう。それでも、上へ向く気持ちがあれば人は必ずむくわれるという事を信じたくなった。
さくら荘のペットな彼女〈2〉 (電撃文庫)