図書館で働く非正規職員たち

全国の図書館で非正規の職員たちの置換えが進んでいます。全国の公立図書館を調べたところ2008年度52%が臨時、非常勤職員として勤務しているというデータが出てきました。1991年度は専任職員は80%の比率で勤めていましたが2008年度にはそれが48%にまで大幅に減少しています。

なぜ、非正規職員への置換えが進んだのでしょうか。それには、地方自治体が関わってきます。

全国の地方自治体は税収不足に悩まされています。その傾向は少子高齢化が進みさらに悪化することとなると推測されています。

そのため地方自治体は無駄を減らすため図書館にかかるお金を減らすことにしたのです。新しく導入された指定管理者制度を使い民間に図書館業務を委託して運営費を減らしました。

しかし委託された企業は利用者から公共施設ですので利用料をとることはできません。そのため委託料だけで運営していかなければならないのです。そこで少しでも利益を上げるため人件費を削って利益を上げようとした結果安い賃金で雇う非正規職員が大幅に増えたと言うわけです。

増加した非正規職員たち、彼らは皆少ない賃金に悩まされています。主要な働き手としてフルタイム働く東京の非正規図書館員が月給としてもらう金額はせいぜい18〜20万といったところです。この収入では独立して生計をたてるのは困難です。

この安い賃金は日本型のパート労働に基づくものです。前述したようにいまや主要な働き手となった非正規職員たち。にもかかわらず自治体が払う人件費はまさしく同一価値労働、同一賃金の原則を無視した日本式パート労働の水準にとどまっているのです。

図書館のサービスは他の公共サービスと異なり居住地域内であればそのサービスを受けるのに何の条件を示さないサービスです。誰もが享受できるサービスと言ってもいいでしょう。このようなサービスは国や地方公共団体が一番欲しいすでに失われた国民、住民の信頼感を取り戻すことにつながります。

けれど、今のまま非常勤職員たちに対しその能力にみあった賃金を払っていない状態では優秀な働き手の離れにより図書館のサービスは持続不可能な物になるでしょう。

図書館サービスの消滅を招きたくないのであれば地方自治体は考えをあらためる必要があるのです。