ライトノベルで今までにやられていない要素について

このライトノベルがすごい! 2010


ライトノベルと言われる物が初めて世に出てから、既に数10年の月日が流れたわけであるが、この時間は長いように見えてたいしたものではない。事実ライトノベル界の三大奇書といわれる物であっても、理解のできない物ではない。つまりまだまだやり残された要素はたくさんあるということである。この記事ではまだライトノベルでやられていない要素について考えてみたいと思う。


結局、ライトノベルに新しい要素を追加するといっても、それは他のジャンルからの流用と言うことになるのだが、それを回避しようとすればいままで長い歴史を持つ小説全体でやられなかったことを見つけなければならないこととなる。そんなことは、どう考えても難しいことでありつまらないプライドのためいらない苦労をする暇があったら、他のジャンルからの流用を積極的にするのがいいことなのである。


前置きはこれくらいにしてなんでもできるー現実的にはいろいろと制約がある、ライトノベルで使われていない要素を箇条書きにしてみた。

  • ライトノベルで使われていない要素
    • ご当地物(松本殺人事件、みたいに実在の地方名を出しその地方の文化、名所などを本文中に組み込んだもの)
    • 旅行物(実際にある名所、場所を旅をしながら紹介するもの。紀行文といった形が一般的)
    • 一人の人間の一生を出来事ともに最後まで書き上げるというもの。(最後にハッピーエンドが示される作品はあるが、一般的な老衰や病気などで死ぬまでの過程をことこまやかにかき。またそれを主題としたものはまだない)
    • 情景の描写が詳しい物(例えば、部屋や風景などの様子をしっかりと書き込んである物がこれに値する。どこに何があり、どんな色をしており誰がいたのかなどは書くのが難しく訓練が必要である。
    • 心の機微が詳しすぎる物(エンターテイメントなんてどうでもいいから、登場人物達が何を考え行動しているのか克明に描かれている物が当たる。これらに該当する作品は、いかに作者が自分の考えを盛り込み主張するためかを重要視している。当然のことではあるが、読者に自分の考えたことを知ってもらうためのものなのだから)
    • 古本に関する物

今思いつくのはこんなところ。指摘していない要素があったら、ぜひ教えて欲しい。ライトノベルでやったことを書き出している記事は数多あるが、やっていないことを言及しているのは少ない気がする。使われていない要素を活用してこそ新たな読者層を開拓できるだろうし、考えるひとはもっといてもおかしくないはずなのになと僕は思う。
上のリストを見るに、これらから言えることは二つある。一つは実在性。ライトノベルの多くが仮想都市をモデルにしている。現実にある都市や国を舞台にせずにだ。もっと実在の場所を多く出してもいいようなものなのに、なぜなのだろうか。次にエンターテイメント性に捕らわれていると言うこと。売れるためには面白くなくはいけないという考えを捨てることができていないということなのだろう。退屈な作品でもそれ自体に価値があれば受け入れられる物である。読むことで人生について、考えられる物ならば最後まで面白くなくても読む価値があると判断した人は手に取ってくれるはずである。


まだまだ開拓の余地があるように思えるライトノベル。そもそもは児童、少年文学から派生したライトノベルではあるが既に一つの分野を作り上げている。そしてこれからもそれは形を変えつつ長く生き残っていく物だろうと思う。それに値する物の実力を秘めているのだ。

  • 補足項目

togetterの方のコメントで教えてもらった記事。少し古いけれども現実にある都市が出てくるライトノベルについてまとめられている。筆者と同じく少ないと印象を受ける。
実在の都市名・町名・地名が出てくるライトノベル - SNOW ILLUSION blog


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