実は青春ものだった! 僕は友達が少ない7 感想 

アニメ放映が迫ってきた『僕は友達が少ない』、その7巻が発売された。内容としては、文化祭の出し物を考えて、準備をするというものだ。最後にいままでの会話のパターンが意外な伏線として使われて驚いた。

そもそも、『僕は友達が少ない』は残念な登場人物が軽快な会話とハイテンションなボケ的行動を繰り返すギャグ小説だと思っていた。それは、今巻に至って半分は当たっていたが残りの半分は外れていたということに気づいた。

ヒロインたちは、主人公である小鷹に対して恋愛感情や好意を寄せているが、その気持ちが小鷹に対して明確に伝わることはなかった。いつも、そういった彼女たちの言葉は小さな文字で本文中に書かれ、小鷹は「え? なんだって」と聞き返すのが常であった。

本当の気持ちを伝えられない、素直になれないという行動をしてしまうことは、まさに青春ものに不可欠だ。青春時代だれもが心にもやもやとした思いを抱きながら過ごしている。心のすれ違いがドラマチックなストーリーを産むのだ。

唯一の例外といえば主人公の小鷹であった。ヒロインたちに対して感謝の言葉を素直に言っていた。その言葉は彼女たちの心を揺さぶっていた。しかし、7巻では彼すらも自らを偽る行動をしていたことが露見する。

小文字で表されていたヒロインたちの言葉は実は小鷹へ届いていたのだ。理科からの追求でそれが判明する。それを聞こえないふりをしていた。関係性を壊したくないがために、現実から目を逸らし、知らないふりをする。別にそれ自体はいい。いつか決断すると心に決めているのならば。

ならば、小鷹は理科へ宣言しなければならなかった。いつまでには、はっきりさせると約束すれば良かった。それを放棄し、逃げた。その態度が納得が行かない。小鷹も向きあえよと。男ならという表現は適切ではないかもしれないが、男らしくうじうじするのをやめろと言いたい。続刊へ逃げないで、この巻でいつまでにははっきりさせると筋を付けて欲しかった。

内容的にはこういうギャグものであって生存のようにマンネリがないのは凄い。前巻よりは面白く、アニメ放映前としてはいい作品となったのではないだろうか。これなら次の巻にも繋げやすいしね。最後は前述したように納得がいかないが。

ライトノベルではこうした次の巻への引きを意識するがあまり、跳躍的な煽りを入れることが多くなっている気がする。ある程度、作中で結論を付けて完成した状態で出して欲しい。半端な引きは読者に対立を産む。

理科が最後に言おうとした言葉は、彼らの関係性を一発で変えてしまうものだ。小鷹も含めて、次の巻こそは傷つくという可能性に立ち向かい乗り越えて欲しい。先へ進むのだ。曖昧なまま巻を進めると確実に注目度は停滞もしくは減少を迎えることになるだろう。