『GJ部』分析第一回 序論

GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)
新木 伸,あるや

小学館
売り上げランキング : 11184
おすすめ平均 : 5つ星のうち4.0

Amazonで詳しく見る
今回、取り上げるのは『GJ部』という作品である。作者は、新木 伸。イラストは、あるや。レーベルはガガガ文庫である。
表紙は、白を背景としてSD化された登場人物5人が描かれている。

この作品は、ライトノベルという作品の中でも初めてと考えられる構想によって作られている。その構想は、萌え四コマ的小説というものである。『ひだまりスケッチ』や『けいおん!』に代表されるいわゆる萌え四コマという考え方をライトノベルに流用したのだ。これは今までにない取り組みである。

短編小説による連作というスタイルは、あの有名な『キノの旅』で既に実践されているが、それとは大きく異なる。『キノの旅』の場合、あくまでも伝えたいテーマがありそれに基づいて一つの短編が成立している。よって各短編の長さは、伝えたいテーマによってかなりの差がある。つまり、テーマに基づいたライトノベルであるのだ。

だが、『GJ部』の場合はそうではない。ではこの作品は何に基づいたライトノベルであるのだろうか。
その答えは明確である。
それは、キャラクターだ。
ここ数年、キャラクターありきのライトノベルが大勢を占めるようになってきている。つまり、特殊な性癖、能力を持った登場人物たちによって作られる小説ということである。
例えば、ゲームが好きであるとか、ロリータコンプレックスを抱えているやオタク系の趣味を持っているなど様々である。
このようにキャラクターに依存したライトノベルにはストーリーというものが重視されない。物語を作る上での起承転結が成立しないものも多々ある。より良いストーリーを作ることを重視するのではなく、魅力的なキャラクターたちをつくる方に力を注ぐ傾向が顕著に現れている。

そして、そういった作品の一つの形態としてたどり着いた作品が『GJ部』であるのだ。

序論終了。本論に続きます。