航路1300キロ40時間 苫小牧から名古屋までフェリー旅

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そもそもフェリーになぜ乗ることになったか

前回の記事で書いた通り北海道へ学会で行っていた.

abcdef.hatenablog.com

といっても台風・地震に阻まれて,学会は要旨集とポスターセッションを一日見ただけで終わってしまった.その後の私的な巡検も地震の影響でキャンセルになった.そこで名古屋へ帰る手段を手配した後,吹っ切れたように寿司,ジンギスカン,スープカレーを食べ,ようやく復活した電車で小樽へ行ったりしつつ食と観光をして時間を潰した.

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航路・ダイヤ・のりば|太平洋フェリー

さて北海道からの帰る手段として今回手配したのはフェリーである.苫小牧港から仙台そして名古屋港までを結んでいる.今まで乗ってきたフェリーとは桁が違う40時間超えでこれほど長い時間フェリーに乗ったことがなかったので,乗る前は不安だった.海上に閉じ込められことにより途中で嫌になったりするのではと考えていたわけである.仙台から名古屋は一度乗ったことがあり,長時間の船旅は経験があるものの,改めて時間と距離だけを聞くと気後れしてしまう.

しかし,最終的には最悪寝ていれば着くだろうと思い船を選択した.また船を選んだ理由は,巡検中止などで予定を変更したため飛行機の予約をキャンセルするしかなかったが,LCC特有のキャンセルをしてもお金が返ってこないという事情および行く前の台風で欠航になった経験により再び空路を選択したくなかったというものもある.

フェリーを予約したものの,高速バスと電車が止まっており出航の2日前まで出発地点の苫小牧まで行くことができない可能性があったが,前日までに電気が全道でほとんど復活したことでこの問題は解消された.

苫小牧フェリーターミナルへ

札幌駅前のバスターミナルから苫小牧駅経由のフェリーターミナルへの直通バスが出ているため,これに乗れば二時間ほどで楽に向かうことができる.また苫小牧まで電車で行って,そこからバスやタクシーで行く手段もある.

苫小牧のターミナルは,私が行ったターミナルでは一番立派かもしれない.三階にはポートミュージアムもあるし,そこからは外に出て船を眺めることもできる.建物内部は真新しい.

5時過ぎに太平洋フェリーの乗船受付に向かったが,かなりの列ができていて待たされた.3人でさばいていたが,他のフェリー会社と同様に車がない人とある人で分けたほうがいい気がする.無論自分が早く乗りたいだけだ.

隣の商船三井フェリーのカウンターには飛行機で一般的な自動チェックイン装置があり,船でもあるのかと感心したが太平洋フェリーには導入されることはあるのだろうか.

船の感想

長時間の船旅について

長時間の滞在を持て余すと思いきや,あっという間に時間が過ぎた.夜に乗船するので,乗ってお風呂に入りご飯を食べたらすぐに眠ってしまう.また映画やコンサートがあり,見ていると一時間,二時間とすぐに過ぎている.乗ってみて初めて分かる感想だ.海上であっても4G回線が使えることがままあるので,YouTubeの動画をみたりゲームをしたりしている人が多い.またソフトバンクのwifiも飛んでいる.ただし,S寝台など船内部の窓がない部屋では,ほとんど電波が圏外だった.

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船内の設備

部屋 S寝台を予約した.直前に予約したのでネット割に込みで12900円だった.普段はは早割が聞くのでかなり安くなる.

寝台席だがコンセントが1つとテレビがあり,またはしごで上がる二階部分がないのが特徴だ.

カーテンで仕切りができカプセルホテルのようだが,天井が高くルーム内で立ち上がれる.また荷物を置く場所も広く,輪行バッグに入れた自転車でも邪魔にならずに置くことができる.

難点はお風呂用のタオルとティッシュ箱がないことと他のフェリーで見られる洗面室が少なくともS寝台近くには.存在していないことだ.またベッド上のコンセントの近くにライトがあり,カメラのバッテリーの充電機器などの箱型でコンセントが飛び出ているような機器の多くは干渉するためにコンセントに繋げない.

大浴場 大浴場は広々としており,シャワーがかなり多い.また,サウナや個人用のジェットバスがあるのはフェリーでは珍しい.ドライヤーが2つしかないのが難点.

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ラウンジ 広々としており明るい.軽食が取れるカフェもある.ただコンセントが少ないので仕事をする人は困りそうだ.コンセントがある小規模なスペースは船内の奥の方に存在していて,歩きまわらなかったり乗員に聞かなかった人は気づかないだろう.だが,よく考えてみるとこんな遅い移動手段はビジネスマンは乗らないに違いない.コンセントを今必要としている人は,スマホで熱心に遊んだり情報を得たりしている若者たちに違いない.

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売店 一通り揃っている.北海道,仙台,名古屋と寄港地のおみやげが取りそろえられているのはフェリーあるあるだ.軽食のバリエーションがもう少しあってもいいと思う.サンドイッチやおにぎりなどが欲しい.一時閉店があるのは採算を考えると仕方ないのかもしれないが使いづらい.

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仙台一次上陸 仙台で二時間ほど一時滞在した.平日は少ないバスで,すぐ近くのアウトレットパークへ行った.平日だが人はそれなりにいた.服関係を見ていると一時間に一本のバスを乗り過ごし,ターミナルまで徒歩で20分ほどかけて向かうことになった.

朝食バイキング 機会があったので朝食バイキングを食べてきた.ホテルのバイキングそのものだった.品数はそれほど多くない.ゆで卵や温泉卵,スクランブルエッグなどの卵料理がないのが特徴的だろうか.並べられていたこんにゃくが入った鶏肉のサラダは珍しい.

このレストランは二階の一番奥に入口があるという謎の位置にある.これまで見てきた船の中で珍しいところにある.私の知識では普通船に入ってすぐのところにあるものだ.

全体を通しての船旅の感想

船は飽きたら船内で場所を変えたり,いつでも食事や入浴ができゲームや映画を見たりすることができるので,長時間拘束される類似例であるバスに比べて圧倒的に楽だ.旅客は事前予約で大きな割引が受けられ,予約の変更も飛行機とは異なり融通がきき私は船旅が好きだ.これからもフェリーが存在していってくれると嬉しいしもっといろいろな航路ができるといいが,大量の客をさばかないと成立しないので,バスとは違い航路を増やすのが難しいだろう.

名古屋に今住んでいて,西に行くことが私は多い.なので名古屋から宮崎や大分,鹿児島に行くフェリーがあるといいといつも思っている (かつてはあったと聞いている).大阪南港や神戸からはあるのだが,そこまで行くのは遠く気軽に利用するのは難しい.

この経路の移動時間は長時間なので車などを載せない場合,行きも帰りもフェリーを選択するという気にはこのような快適な旅を経験してもおすすめし難いが,どちらか一方にフェリーを組み込むのは心からおすすめできる.

ただし,長時間乗ることになるのでグループで貸し切るなどの場合を除くと寝台,特にS寝台以上のグレードの席を買ったほうが良い.女性専用席もある.また時間つぶしができるものや飲食物,タオルなどを持ち込んでいたほうがよい.

外国人がほとんどいないのが面白いところだった.札幌の街には白人,アジア人があれほどたくさんいたにもかかわらずである.私としては鉄道の旅よりもフェリーのほうが魅力的であると考えていた.だが鉄道は駅や電車の中,立ち寄る街で新しい出会いや発見があるが,船の中では新しい発見という面では弱い.どこの船も度の国でもそれほど差異があるように思えないからだ.いくつも寄港地が頻繁にある長期的な船旅でもなければ,新鮮さを求めて日本に来る外国人たちはあえて乗らないだろう.そして移動手段としては,飛行機とくにLCCには運賃と時間で勝負にならない.

以上,苫小牧から名古屋までフェリーに乗ってみた感想でした.

これまで乗ってきた代表的なフェリー

大阪南港から門司港 大阪南港から別府 神戸から大分 新潟から小樽 苫小牧から名古屋 仙台から名古屋 愛媛から徳島 萌えキャラが押されていて好き 八幡浜から臼杵 三崎から佐賀関 新潟から佐渡

鉄路2万7千キロ 世界の「超」長距離列車を乗りつぶす (新潮文庫)

鉄路2万7千キロ 世界の「超」長距離列車を乗りつぶす (新潮文庫)

船内では辛い旅をしている下川さんの新刊を読んでいた.