パンニング(Panning)、わんかけについて (ジルコン分離)

パンニング、碗かけについてのまとめ.

はじめに

わんかけ法とは

椀状の容器に砂鉱や粉砕した鉱石を入れ、水を加えて手で揺り動かし、低比重の不要な岩石粉を水とともに縁から流出させて高比重の鉱物を選別する方法。砂金の選別などに利用。

http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/239023/m0u/

動画

gold pan panning zircon and heavy minerals Part 1 -7 (パート7まであるが、4あたりがおすすめ)

www.youtube.com

www.youtube.com

zircon panning (良い) www.youtube.com

How to Pan for Gold

Gold Panning -- Backwash & Tap Method

crevicing for gold nuggets on forth of july

日本語の記事

鉱物採集の技(1)  パンニング

本文

わんがけ(パンニング)火山灰や砂から比重の大きな重鉱物を取り出すために主に使用される.火山灰の場合は、構成鉱物の観察や分析のために細粒の粘土鉱物などの物質を除去するために使われる。世界では砂金を選別するために用いられてきた.日本でも,佐渡の砂金センターとかでやったことがあるでしょう.

回転させるというイメージがあったが,実際は左右にふるって重い鉱物を下へ移動させ,その後パンの前後運動で軽い鉱物をはじき出すというイメージでいいらしい.また溝のある方を弾き出す側にすることで,重い鉱物がわんがけが上手くいかずに出て行くのを防ぐことが出来るみたいである.

冒頭3つの動画では、水面の表面張力を減らすために石鹸水を一定時間使用している。zircon panningの1分3秒から動画上に入る注釈で示される。これが分析に及ぼす影響については、分からないが、よく水で洗えば除去できるのだろうか。

パンやお椀のほかに、お玉や小さなボウルを使う方法もある。重鉱物 (比重2.85より大きい) の分離を目的とする場合では、東工大の人の記述によると、パンを使うよりもお玉を使うほうが良いそうである。

4 岩石サンプルからのジルコン分離と同位体分析の実際

これは私も試したが、かなり効率が良い。ただし、お玉に入る砂の量が限定されているため、時間がかかるという欠点がある。わんかけで集めた鉱物群において、実際の重鉱物の比率よりも、より重たい鉱物の比率 (ジルコンなど) が高くなるように感じるが、暇な人はテストしてほしい。比重が比較的一定な鉱物 (例えばジルコン) を対象とする場合では、組成のバラエティによるわんかけ段階でのバイアスは最小になる。

お玉法においての実際の手順を軽く紹介する。

0、一定の粒度にふるい分けた砂を用意する。粒度は、上限を決めれば良い。1mm以下、250マイクロメートル以下など目的に応じて人それぞれである。目的とする鉱物の粒度を薄片等で調べることが推薦される。当然だが実際の鉱物は球ではないので、250マイクロのふるいを使っても一番長いところがそれ以上の長さを持つ鉱物が一般的に通過する。

1、流しなどにボウルを置く。

2,水をちょろちょろボウル以外のところに常に流す。

3,お玉に使い捨てのプラスチックスプーンなどで砂を入れる。砂の量はあまり多くないほうが良い。

4、ちょろちょろ流れている水をおたまに入れ、ボウルの上で小刻みに左右にお玉をふる (重鉱物を沈めるため)。適切な回数は正直分からないが、他のパンを使った動画を見る限りでは、砂が多いうちは回数が多いほうが良いように思える。

5、ボウルの上でお玉を回転させて水を回転させながら排出する (軽鉱物が水とともにボウルへと出て行く)。この時お玉が水平の状態で水が綺麗に回転するようにする。

6、4と5を繰り返し、お玉の中の砂の量がわずかになったら終わりにして、シャーレやアルミカップなどに移して実体顕微鏡で観察する。まだ十分に農集できていなければ再度4と5をやる。

7、3-6を繰り返し目的の重鉱物量が手に入るまで続ける。もしも、ボウルが水でいっぱいになった場合は、しばらく放置し、浮いている微細鉱物ごと砂を流して良い場所に水を流せば良い。ボウルにたまった砂 (軽鉱物主体) は、皿などに入れてオーブンなどで乾燥させて回収してもよい。

付記。お玉により濃集した重鉱物と軽鉱物の集団から重鉱物の比率を高める方法として、磁性鉱物を除去した後に小さなわんを使うというものがある。また重液を使っても良い。ただし使用し水で薄まった重液を再び濃くする手間がある。

参考記事と本

ひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑

ひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑

「ひとりで探せる 川原や海辺のきれいな石の図鑑」書評 - ミグストラノート

パンニングで集めた鉱物とその実際の手法について紹介されている。

あなたの研究生活を楽しく進めるために(地質学卒論生向け)

作りました.

ただし,英語論文検索,データベースまわり,論文管理,新着情報ゲット,分析とかに難があります.

後,学会編とか知らん.だれかマスター・ドクターの人書いてとしか言いようがないです.

卒論生向けとしてはこんな感じでいいのでは.

GMT Macでのインストール

このサイトを見れば問題ない.

GMTなど/GMTのインストールonMac - OKUBO S. Personal Page

Comand Line Tools

Comand Line Tools(MavericksやMountain Lion,Lionなどで)のインストールについては,Appleディベロッパーサイトにログイン後,Mac Dev Centerへ.Additional Downloadsのところの,View all downloadsをクリック.検索のところで,commandとでも打てば出てくるのでダウンロードしてインストールできる.

Apple Developer

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GMTインストールのところで,エラーを吐いてストップしている.どうにかして先へ進みたいが.

薄片を作るのが嫌い

薄片という物がある.

薄片とは,岩石をチップ(プレパラートに貼れる大きさへカットしたもの)にして,スライドガラスに貼り付けて削り,極限まで薄くした物である.薄くすることで光を通すようになり,偏光顕微鏡等で観察することが出来る.

しかしこれを作るのがめんどくさい.そして私にとっては苦痛だ.

まずチップにするまでがめんどくさい.取ってきた岩石をホルダーに止めて,大型のカッターで切り出す.そしてそれを小型カッターで再び切る必要がある.大型カッターは騒音がひどく,その音を聞くだけでやる気がなくなる.そしてホルダーに止めるのもいちいち木を挟んだりして綿密にやる必要がある.

この片付けがまためんどくさい.岩屑を水で洗い流し,ぞうきんで拭いて,水気を飛ばす必要がある.最速でも20分ぐらいかかるのだ.それだけで嫌になる.私は片付けが一番嫌いだ.

そしてそのチップをスライドガラスに貼り付けるためには100, 200, 400, 800, 1000, 1500と目の違う粉をグラインダー使っていちいちチップを磨く必要がある.そしてそのあと,ホットプレートで乾燥させなければならない.

とにかくすぐに完成しないのだ.何をするにも数時間がかりだ.

スライドガラスに貼り付けたあと,また同過程を経て今度は薄くする.これも非常に苦手だ.必ず均等に薄くできない.するとどんどん見られる部分が削られて消えていく.

悩ましい.

あと,出来た薄片にカバーガラスをかけるのもきれいにできない.

といったように,時間はかかるし,疲れる.そして不器用.嫌いだ.しかし,やらなければ.

はてなブログでマイナーな地質学徒

はてなブログだと,やはりメジャーな勢力としてはプログラマー関係が強い.あくまでも自分の見ている範囲だけれど.

一方でわれわれ地質,あるいは地球科学はマイナーと言わざるおえない.

なので暇な地質学・地球化学・地球科学分野の人ははてなブログで記事を書いてくれると嬉しいな.

はてなブログのカテゴリーは記事数が0になるとサイドバーに表示されなくなる

これ地味に感動した.

はてなダイアリーだとあるカテゴリーを全ての記事で削除しても記事一覧の所に消したはずのタグが残り続ける.当然そこをクリックしても,そのカテゴリーに存在する記事がないのだから表示はされない.

ところがはてなブログではあるカテゴリーに所属する記事が0になると,自動でサイドバーのカテゴリー一覧に表示されなくなる.記事数0とかかかれない.

さらに,記事の更新画面において,サイドバーにあるカテゴリーを選択する項目に記事がないカテゴリーは表示されない.

考えてみれば当たり前のことなんだけれど,個人的に感動した.はてなが当たり前の機能を付けてくるなんて.

最近読んだ本

図解・プレートテクトニクス入門 (ブルーバックス)

図解・プレートテクトニクス入門 (ブルーバックス)

読んでいる.これ内容が深くて驚いた.ここまで詳しくやるとは思ってなかった.流石,大先生.プレートが弾性変形と塑性変形を受けて変形するメカニズムとか自分も習った記憶がない.

地学センターで取る人には是非とも読んで欲しい.日本列島の誕生とともに教科書に指定するべき本.読み終えたら感想を書きたい.

日本列島の誕生 (岩波新書)

日本列島の誕生 (岩波新書)

信州大学理学部地質科学科について知りたい人へのページ

信州大学理学部地質科学科についていままで書いてきた記事をまとめました.

はじめに

信大地質科について知りたい人は,信州大学理学部地質科学科のページをご覧ください.

地質科学科|信州大学 理学部

この写真集を見てもらえれば,雰囲気が伝わるかと思います.

地質科学科の講義・実習

書いた記事

第一回 信州大学理学部地質科学学科 入学してからの生活

第二回 信州大学理学部地質科学学科 男女の構成比率について

第三回 信州大学理学部地質科学学科 実習について

信州大学理学部地質科 常念岳

信大理学部地質科学科の新歓ハイク(新入生歓迎ハイキング)について

上高地に行ってきた 後涸沢に登ってきた フォトレポート

信州大学理学部地質科学科前期試験 小論文対策

信大地質科 地質調査演習(進級論文)について

雑感

地質に特化しているので,地球物理とかを期待する人は他の大学に行った方がいい.しかし,堆積,火山,岩石学と自分の足で野外に出て調査をして来ることにかけては日本有数である.なので実践力が付き,地質コンサルタントなど地質関係の職につきたい人には自信をもっておすすめできる.

川や山に出て調査をすることを嫌う人には厳しいかもしれない.もちろん卒論テーマとしては室内メインのものも多数あるが,授業では野外にでて調査をする必要がある.

普通の人はブログのサイドバーを見ないが,ネット中毒者は見る その他「岩相解析および堆積構造」の感想

サイドバーについて

ブログのサイドバーって言うほど必要か?"UserHeat"を使ってみたら恐ろしい結果が… | iPhone持って珍スポいてくる

サイドバーのクリック率が低いと書いている人がいた.確かにアドセンスでもサイドバーよりも,記事下のほうが圧倒的にクリック数が多い.

けれど,自分の場合はサイドバーをよく見る.なぜかというと,何かのきっかけがあってそのブログへ行き,特定の記事を見たとする.大抵の人はその記事を読んで満足してページを閉じるだろう.しかし,ネット中毒者は違う.

その記事がそれなりに面白かったのならば,他にも面白い記事を書いているはずだと考える.大抵の場合最新記事はサイドバーにあるので,必然的にサイドバーを見に行くことになるのだ.なので,サイドバーをクリックないし見る人はいるし,そういう人のほうがリピーターになりやすい.なのでサイドバーは存在価値がないとは言えないかな.

ただ,それならば記事下に更新情報を載せればいいという考えもあるので,本当にあったほうがいいかはわからない.ブログの場合はサイドバーがあることが一般的になっているので,むしろないブログは読み手にちょっとしたサプライズを与えて,注意を引く効果はある.

現状,まとめブログとか見ているとサイドバーは広告のためみたいな位置づけになっているのは事実.

サイドバーを見ている人はいるという話でした.今はサイドバーに更新記事とかTwitterとかの情報があるから見ているけれど,結局のところ,読み手を上手く誘導できるのならばサイドバーでなくともいいよね.

岩相解析および堆積構造」の感想

岩相解析および堆積構造

岩相解析および堆積構造

超値段が高いがいい本.新版も最近でて,情報が新しい.なんで,この本早く読まなかったんだ.堆積学の初歩の本と組み合わせて読めば勉強が捗りそう.文章も読みやすい.

ただ,ミスがたくさんあるようだ.最初の一冊としてはまずそう.

地質系 進級論文(地質調査演習)手引書

前に書いた進級論文略して進論の手引書を作りました.もしもあなたが地質の大学で進論をやることになったときお役に立てれば幸いです.進論がなんぞえという人はリンク先をどうぞ.

信大地質科 地質調査演習(進級論文)について - Sa雪→書を読むこと

1. 序文
この手引き書は進論を有意義な物とするためのものです.ただでさえ大変な進論を少しでも負担を減らすために何ができるのかについて書いてあります.どうか役に立つように祈っています.

さて,多くの方はどこに何がでるのかなどネタバレを期待しておられるだろうが,この手引き書ではそれらについて書く気はまったくない.なぜなら,そのようなものを事前に知っていたとしてそれによって本来得られたはずの知識や技能が損なわれるのでは,進論へ行く意味が大きく薄れることとなるからである.すでにどこに砂岩や花崗岩など何が出ているのかを知っていることは,現地での調査をおろそかにする.そしてありもしない断層をあるかのように記載したり,実際に露頭を叩くことなく遠目で露頭を見ただけで記載するようになる.このような思い込みを生み,あなたの見立てをゆがめることとなるのだ.そして,できた結果もあなたが作ったものというよりも,データを借りているので他人との共同の物というオリジナリティが失われるものとなってしまう.

なぜ進論へ行くのか,それは魔法使いが武器を使ってはいけないのと同じくらい解釈が人によって分かれる.見解が違いすぎて混乱するかもしれないが,僕からも一つの見解を述べておこう.進論へ行くことは,卒論の予行練習であり地質科の学生として成長するための通らなければならない扉である.卒論で全員が地質調査をするわけではないが,半数以上の人はおそらく何らかの形で外へ出て調査をするだろう.その時,この進論の知識が大きく役に立つ.例えば,露頭の見方やスケッチ,記載,サンプルの取り方,ルートの引き方や地質図,柱状図などいちいち挙げていればきりがない.また,現地での調査だけでなくて,帰ってきてからのまとめの作業は,同じく卒論の書き方にきっと役に立つ.進論を経ることなしで,地質科を卒業したとは言えないだろう.それくらい大事なイベントなのである.通過儀礼といってもいい.

しかし,進論を重く考えなくとも良い.あくまでも,通過点であるのだからである.完璧を求める必要はない.初めてのことが多いのだから当たり前である.あなたの目で見たことを記載し,それを元に考えればいい.節度の範囲内で先輩や先生,友人に助言を求めてもいい.しかし結論を出すのはあなたである.それがどう評価されるかは第三者によってであるが,あなたが満足できるやったなと思えることを作り出せればいいのだ.人に過度に意見されることはない.理論的に妥当なやり方で作られた地質図や柱状図と言えど人間がやる以上100%の正解はない.自分自身のデータや解釈が全てである.そんな理論的に妥当な方法や形式で報告書や地質図などの求められる物を作ればいいのである.

最後に班のメンバーと協力して,人を思いやる心を最低限いつも忘れることなく,できれば楽しんで進論を行い無事最後の発表会までたどり着き単位を取れることを本当に心から願っています.


2. 進論に行く前 持っていたほうがいいもの,やっておいたらいいことを提案します
序文で疲れたので,くだけた感じで行きます.まず持って行ったらいいものです.

方眼紙.現地で柱状図を切るのに毎日使います.たくさんあったほうがいいです.
トレーシングペーパ−.なくてもいいですが,地形図からルートをトレースするのに便利です.発表会での手間を減らせます.
調査手帳.露頭情報を記載します.
地形図.5000分の1は当然持って行くと思いますが,一人5枚は持って行ったほうがいいです.絶対に足りなくなります.25000分の1を拡大して5000分の1にしたものは便利です.等高線が大きいので見やすいのが利点です.5000分の1は貼り付けて使うと思いますが,まず一回コピーしてできたそれらの複数の地図を貼り付け,再びコピーして一枚もしくは2枚にしておくと.貼り付ける手間が少なくなるので楽です.ただ何度もコピーを取っていると,等高線の主曲線がかすれて見えなくなるので,コピー回数は少ない方がベストです.
新聞紙.車の中に敷いて汚れるのを防いだりサンプルを包むのに便利です.それなりの枚数が必要.
色鉛筆,定規,プロトラクターあるいは分度器.柱状図,ルートマップの色塗りに使用.
サンプル袋.中に携帯など濡れてはいけないものを入れると良いです.なぜなら,鞄を浸水させる可能性があるからです.
「地質図学演習」「地質調査と地質図」,論文.鹿間(1954),氏原ほか(1988),宇井(1970)など.図学の本は柱状図や地質図を書く時にやり方をおさらいでき,「地質調査と地質図」は調査のやり方についてかなり詳しく書いてあります.
PC.写真を管理するのにあった方がいいです.その日のうちに写真を整理しないとどこの露頭で撮ったのか忘れます.これが致命的.余裕があるのならば写真を撮った時間を時間をルートマップに記載できれば最良です.
どうでもいいもの.卓球道具.体育館で遊べます.
次に行く前にやっておいた方がいいことです.

まず,論文を読みましょう.できれば原文を当たる方がいいですが,学習会でまとめられたものでも十分だと思います.自分の調査地域でどんな物が出るのかを知ることは大事です.これくらいは許されていると思います.大きな断層が地質図には載っているので,それを少しだけ頭に入れておきましょう.現地で見た物が何の層のものなのかを判断することは容易ではありませんが,地層の概略を知ることはその理解を円滑にします.氏原ほか(1988)がそこそこ読みやすいです.富草スラストメインの宇井(1970)もあります.また,日本の地質・中部編にも富草層群の記述があります.ただし,全ては自分たちで判断することで,論文の地質図は絶対ではありません.    
次に,ルートを検討しましょう.尾根をいってもあまり意味がないので,谷をしっかりルートに入れます.道路沿いも重要なルートです.尾根は谷と谷を繋ぐためには必要ですが,余裕があればでいいです.このとき,調査範囲を隅々まで覆うそれぞれのルートを検討しますが,場合によっては他の斑の範囲と被るルートがあっても構いません.被っているルートは他の斑と共同で行くこともありです.次に,柱状図の書き方をおさらいしましょう.現地で毎日発表会がなぜかあるので,少年自然の家に帰宅してすぐその日のまとめをする必要があります.このとき,誰か一人でも班のメンバーが柱状図が書けないと,かなり揉めますし諍いの元になります.公平な班内での分担分けができません.最後に,クリノメーターの使い方が分からない人がいたら浅間にでもいって練習しましょう.柱状図と同じく,全員ができないと役割分担でいざこざになります.

3. 進論調査期間中の過ごし方
0日目.先生との巡検です.花崗岩とか新木田層,富草スラストを見ます.基盤と富草層群との不整合は,見ておくと調査地域の現場で見たときにこれが不整合だと判断する材料になります.スラストは花崗岩との境界を引くとき必要になるので,判断できたほうがいいのですが,まあこれが断層なのか破砕されているな断層粘土があると観察できればいいかと思います.後で0日目も別にレポートを書くので写真を撮っていた方がいいです.

1日目以後.朝起きて掃除をしての繰り返しでだんだん嫌気がしていきます.朝方に習慣を矯正した方がいいのですが,まあ気合いでどうにかしましょう.帰ってくると疲れているので,ベットに入るとすぐに眠りにつきます.快眠快眠.朝,ご飯食べてから手早く準備をしましょう.車の中では汚れないように新聞紙を敷いた方が良いです.車乗る前に,靴脱いでサンダルにでもなるのがベストなのです.

さて現場に着きました.靴履いて,荷物を持ちました.弁当も入れた.さあ沢などに入ります.ここで,やっておかなければならないのは分担分けです.全員が記載していると効率が非常に悪いのが理由です.斑ですので,そのメリットは最大限生かしましょう.3人斑ならば,1人目ルートマップ,調査手帳に記載する.2人目,ハンマーで石を割ったり露頭を見たり,クリノメーターで走向傾斜を測る.3人目,写真など.まあ臨機応変に役割の変更も必要ですけど,人には向き不向きがありますのでそれを踏まえて分担をしましょう.全部一人でやっているとだんだんいやになってきます.

さて現場での記載についてです.地調法と同じで一つの露頭ごとにゆっくりやっていると思いますが,はっきりいってそれだと終わりません.一番最初調査1日目はそれでも構いませんが2日目からはスピードアップ.一日で短い沢ならば最低一つは制覇しましょう.全ての露頭を詳細にスケッチしているときりがありません.スケッチは岩相が大きく違うや断層,不整合など地層境界となっているところなど重要な露頭で取りましょう.だいたいやることは露頭に着いて,全体を確認,掘ったり叩いて粒度や化石の有無,堆積構造などを見ます.断層の有無,あったらその特徴や走向傾斜,礫ならば径 (Max,平均),礫種,インブリケーション,基質など記載することをルーティーンワーク化します.この調査のやり方については,「地質調査と地質図」を読んでおくと漏れがありません.そうしてルートマップや手帳に記載してその日が終わり少年自然の家に帰ってきます.

少し休憩して今度はまとめです.発表用には今日行ったルートマップと全体図,柱状図などがいります.ルートマップは前述したトレーシングペーパーで使って転写して発表用のものを作るのもいいでしょう.とにかく,手早くルートマップを清書して,色鉛筆で色塗りをして,さらにはできるのならば柱状図も作る.ついでに写真の整理も.これをしっかり分担分けしてやります.平等に役割を分けないとわだかまりを生むので注意します.  発表では,その日行ったルートがどこか分からないと怒られますので,調査地域の全体の地形図にその日行ったルートを書いておきます.柱状図の色塗り分けは丁寧でないと突っ込まれますし,曖昧な表現だと怒られます.見てきたことやできた柱状図について分かりやすく説明しましょう.質問にはあなたが見てきたことだけを答えましょう.あやふやなことや変な解釈を言うと相手の疑問を大きくします.そうして,だんだんとデータが集まってくると斑によっては岩相分布図や地質図が書けたりするところも出てきますが,マイペースにあなたたちのベストをつくしましょう.変に焦ってぎすぎすする必要はないですが,空気を読むスキルが必要です.

予定通り行かなければ計画を見直したり,予定にない沢を先生などからの助言に従ってルートに入れたりと臨機応変に対応しましょう.こっそり聞くと先生は重要そうな場所やルートを教えてくれるかもしれません.毎日遅くまでやっていると,気が滅入ります.ですので中日を設けて休んだり,たまには作業を切り上げて早く寝ましょう.根を詰める必要は時としては必要ですが,いつもそういうわけではありません.自分たち,班のメンバーを信じましょう.そうして日々過ごしていくといつの間にか最終日です.

全体としては,調査が終わると後悔することが出てきます.しかし,時間が限られているのでしょうがないことです.一番怖い斑としての崩壊を避けるために,本文で何度も何度も触れているように誰か一人に負担を押しつけることなく平等に,そして空気を読んで人を思いやって最後まで過ごしましょう.本当に,このスキルは重要です. 

4. 進論調査期間の終わりという名の始まり 帰ってきてからの話
進論の調査期間が終わりました.けれど,まだ地質図も柱状図も報告書もあります.さてどうすれば上手くいくのかという話です.

現地で調査してきたデータから岩相分布図と地質図を作りますが,その過程で各ルート(沢など)の柱状図をつくり対比させる事が必要です.各沢柱状図を対比させるわけです.指標となる凝灰岩層,化石が含まれているか,岩相などさまざまなことを比べます,そしてその地域の総合的な柱状図を作るわけです.また,1枚の調査地域全体のルートマップに露頭情報を書き込む作業もあります.これがかなりめんどくさいです.そのルートマップ上の情報を中心として岩相・地層の境界や走向傾斜のデータなどを使い岩相分布図,地質図を作っていきます.

この時,初めのうちは25000分の1を5000分の1に拡大した物を使ってもいいです.この方が等高線が見やすいという利点があります.  最初の内は,走向傾斜のデータを使い図学で引いても上手く岩相分布図,地質図が引けません.しかし,試行錯誤しているとだんだんとどういう分布をしているのか分かるようになります.本当に不思議なのですが,ずっと同じことについて考えていると調査地域のことならばなんでも分かるようになる模様です.  
走向傾斜が分布に微妙に合わないということがあるのですが,結局のところ測るときに5度くらいは誤差が出る物ですし,どこの露頭で測るかで微妙にデータが変わるので大局的な視点でみましょう.データもまた未熟な僕らがやるわけですから,常に正しい訳ではありません.特に走向と傾斜のデータ.地層の広がりの方向と傾きを示すわけですが,これが明らかにおかしいと思うあてにならない箇所が出ます.どう考えても測ってはいけないところ,つまり走向傾斜が狂っているで取っているということです.これはしかたないことです.これを予防するには信頼性の低いデータには現場で?をつけるなど方法があります.

最後は,あなたが見た物を記載したルートマップを信じましょう.3〜4週間ほど格闘してようやくできた地質図などの結果をもとに地質調査演習調査報告書を書いてひとまずは終わりです.報告書なんですが,最終日に書くと本当にしんどいので(経験者は語る),最低でも二日前には取りかかりましょう.先行研究と,各説だけは前に書いておいた方がいいです.後,0日目のレポートも.言葉遣いなどは,先生が後でアップロードしてくれる注意事項やルールを読んで気をつければ問題ないです.カンマとピリオドは,日本語入力の設定で点と丸から変更すると後で直す必要がありません.後で,検索して置換してもいいですが.

地質調査演習調査報告書は決して他の人のをまねをしないこと.かつて,単位剥奪になりかけたことがあります.本当にしちゃ駄目.

さて発表会ですが,記憶があまりない.言えることですが,全てのスライドにはそれぞれタイトルをつける.時間通りに収まるように予行練習をする.はきはきとしゃべるなどでしょうか.進論で分かった結果を,スライドに載せて説明できれば問題ないと思います.後,総合柱状図の花崗岩との不整合の書き方は突っ込まれるので注意です.花崗岩が上位の地層に斜めににょろにょろと進入していると突っ込まれます.

5. 最後に
つらつらと書いてきました.進論は大きな壁ですがきっと乗り越えられます.一気に超えるのではなく,階段を一歩一歩登っていくというのがイメージしやすいと思います.この手引き書が少しでも力となって,一人一人が満足できる進論となることを願っています.

6. 文献
鹿間時男(1954)長野県南部の第三紀層富草層群について.横浜国立大学理科  紀要,第二類,生物学・地学,3pp,71-108.
田中邦雄(1977)阿南町の化石,長野県下伊那郡阿南町教育委員会.
宇井啓高(1970)長野県下伊那郡阿南町に分布する中新世,富草積成盆地の構  造.地質学雑誌,vol.75,no.3,131-142.
氏原温・柴田浩行・伊奈治行・若松尚則・細谷光也・津島孝子・細野隆男・斎  藤毅(1988)長野県南部の富草層群の層序と中新世古地理.瑞浪市化石博物  館報告,no.14,13-30.

鹿間先生と宇井先生の論文はネットJstageなどでダウンロードできる.

前に進まなければ得られないことがある その他「海はどうしてできたのか」感想

一歩ずつでも先へ進む たまには休みながら

いつでもそうだったんだけど,誰かに注目される物を作りたいと思っている.ブログにせよ,研究にせよ,成果物が評価されるのは嬉しいことだからだ.

でもそう思うだけではだめで,そこに至るまでの空白を埋める必要がある.ブログだったら,何かについて調べたり新しい発想が必要だ.

そういう跳躍した思考を続けているといつまでたっても成功しない.

一歩一歩新しい技術なりを身につけていくしかない気がする.このとき,目的を達成するために技術を身につけることと技術を身につけることでやることが見つかるという二つの方法があって,どっちも正しい.

前者の目的のための方が,身につける原動力を得やすい.ただ,後者も技術を身につけること自体が喜びという人にとっては,いい方法なんだよな.これ自体は人の考え方とか性格みたいな違い.

いずれにせよ,前に進まない限り変革はない.停滞は0どころかマイナスだ.周りから取り残されてしまう.

うにゃ,そういうわけで目の前のことを一つずつ片付けていく.とりあえず石を切らないと.では.

最近読んでいる本

海はどうしてできたのか (ブルーバックス)

海はどうしてできたのか (ブルーバックス)

読んでいる.山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)では,山のできかたについてプレートテクトニクスなどを絡めて語られていたが,今回はなんと宇宙創生から地球誕生,そして海の誕生に至るまでの流れが語られていた.自分としては,海の循環とか流れとかと絡める部分が多いのかなと思っていたが,そんなことはなかったぜ.当たり前だけどな,だって海がどうしてできたのかというのが本題なんだもの.