- はじめに 手法の説明と動向
- この手法をライトノベルに対して適用できるか?
- 漫画である必要性は? 漫画を動画にしたら?
- 感想
- 考えれば考えるほど,ラノベの良いマーケティングとはなにか.編集が宣伝をしてくれないんだけれど問題と重なってきて,一読者が考えることではないように思う.
- 201905追記
はじめに 手法の説明と動向
Twitterに話の内容がよく分かるタイトルを付けて,短い漫画を載せる手法がある.初期は,オリジナルの同人作品が多かった.バズった漫画のいくつかは,商業作品として連載に至ったものもある.だが,最近は書籍化あるいは連載している商業作品でもその一部を取り出して体験版として同様の手法を用いる例が見られるようになっている.この場合ツイートの最後に単行本なりの宣伝が入る.
後者の例
隣の席の子が偏食すぎる話(1/3) pic.twitter.com/37bzn1K1Q8
— だーく@弁やば2巻1/26発売! (@darkside22423) 2019年2月8日
後者に対してアマチュア作品に見せかけ商業作品を宣伝する手法であるという批判がある.ただ,それは一部の意見である.
商業作品から切り取り,最後に宣伝が入るこの形式は最近確立された.ただ,人気な同人作家の書いた作品がバズる例がよく見られ,商業作品の読み切りではないものの類似したの例は前からあった.その作家は大抵過去に連載経験がある.そしてTwitterにあげる作品は過去のオリジナル作品の流用であることもあり,この宣伝形式が生まれる移行期の作品であると捉えることができる.
アマチュア→準アマチュア→商業作家と手法を使用する層が拡大していった.
私は,この手法がどういう形で使われてもいいと考えている.
この手法をライトノベルに対して適用できるか?
ライトノベルでもこの宣伝手法を応用して活用できれば面白いんじゃないだろうかということで思案してみよう.
漫画とラノベの違い
漫画はラノベと違って,わかりやすく短時間で見れる.ラノベは文章なのでとっつきにくい.しかし,メモ帳スクショツイートがTwitter上でバズることがあり,必ずしも見られないわけではないようだ.だが,そのスクショツイートを最後までしっかりと読んでいる人は少ないと思われる.
タイトル
漫画の場合,タイトルが○○がXXする話と具体的なものがつけられることが多い.これは実に面白い傾向である.ライトノベルの長文タイトルと類似した傾向があることになるからである.ラノベの長文タイトル作品の一部に作品のエピローグ部分や前提を説明するタイプがあるのが先行研究から分かっている.
漫画の場合,タイトルに前提を盛り込んでいる.タイトルが幼馴染が可愛い話ならば,可愛い幼馴染が出てきて主人公と触れ合う話になるだろう.
文章よりもとっつきやすい漫画であっても,宣伝のためにはいいかんじのかっこ良いタイトルを脇においてより具体的なものが好まれるということである.
載せる内容について
ラノベの場合も漫画と同様の戦略で行くとすると,本編の内容の一部を抜き出してまとめる必要がある.大半のラノベ作品は起承転結のストーリーがあるわけだが,これを無視する.作品のタイトルが「異世界に転生した俺の妹が最強なんですけど」という作品で,タイトルを重んじれば起の部分である妹が強すぎるシーンを書くべきであろう.一方で作品のタイトルを無視してもいいのならば,特に関係ない妹がかわいすぎるシーンをかいても良いわけである.
ラノベはストーリー要素が強い作品が主なため,漫画と違って一部を切り出すという手法とは相性が悪い場合がある.漫画ならば四コマとかショートショート,読み切りに近い作品など多様性があるからである.一方で,一部のネットユーザーが好むフォント芸やネタイラストを使用したページを貼ることは効果的であろう*1.
漫画の場合と同様に一部の要素の下に再構成するか,開き直ってあらすじや序盤を載せるかに分かれるわけである.後者は今回の趣旨からは外れることになる.
コミカライズしているラノベ
すでにある程度の人気作品であれば,コミカライズ化しているだろう.ならばそれを流用することができる.この場合ラノベ版と漫画版の両者の宣伝ができてよい.
コミカライズしていないラノベ
コミカライズ化していない作品の場合はどうだろうか.ラノベの場合,絵でいうと挿絵,表紙絵が文章とともにある.絵と文章を用いて宣伝商材を作ることができる.PVの静止画版のようなものである.
ここで思うのがラノベの冒頭のカラーページを漫画にすればいいのではというものだ.これだとそのまま宣伝に使用できる.私はラノベの巻頭カラーページには不満があった.本編の1シーンの場合は,後から見返さないといけないし,一枚絵ポスターの場合は,数十秒眺める程度である (切り離せて飾れるとかだといいのだが).カラーページを最初に持ってくるのならば,本編の挿絵を増やしてカラーを挟み込んでほしい.
冒頭をエピローグを説明する漫画にするのはどうだろうか.
文章メインの場合
大衆に見てもらうことを考えると,一枚に盛り込める情報はパワポのスライド一枚と同レベルであるとすると,横書きで1枚10行程度.一行24文字で,240文字.四枚で960文字程度になる.
ラノベ一枚を40文字*34行とすると1360文字となり,盛り込める情報はラノベの1ページ程度になる.あらすじは3作品を調べた感じでは250,350文字程度であり,分量的には読んでもらいやすい量である.一方で,ショートショート (2P程度) を載せるには充分ではない.
そこで一枚あたりの文字数をだんだん増やしていくのはありかもしれない.はじめは短く,後半は長く.
漫画である必要性は? 漫画を動画にしたら?
4P程度の漫画で単体あるいは複数のツイートで構成されるツイート群が今回の例である.しかし,漫画ではなくて動画でもいいと考える.YouTubeの漫画の動画広告は非常に良くできていて,つい最後まで見てしまう.Twitterに動画にした漫画を載せることもできる.ただし,漫画よりも作るコストが上がるのが問題である.それでも今後は,漫画ではなくて動画が流行ると思う.
感想
ラノベの宣伝に漫画を使って,最後の宣伝ツイートでラノベでしたとして欺くのは,趣味が悪いが面白いんじゃないかと思う.
考えれば考えるほど,ラノベの良いマーケティングとはなにか.編集が宣伝をしてくれないんだけれど問題と重なってきて,一読者が考えることではないように思う.
201905追記
この人気ツイートは参考になりそう.
ロシア人の酔っ払った話で好きな話がある
— 鷹の人 ロシア装備二年生 (@taka123fumi) 2019年5月20日
ソレがこちら→→ pic.twitter.com/O87nxVw9NL

始まりの魔法使い 1 名前の時代 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 石之宮カント
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 富士見書房
- 発売日: 2017/06/20
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
*1:もちろんそういうユーザーと我々は喧嘩になる