ライトノベルの形式的な特徴とそれに付随すること

ライトノベルには他の種類の書籍とは異なる形式的な特徴がある。この記事ではそれらについてまとめる。

まず、流行性が強いことがあげられる。その時、つまり執筆しているとき流行っていることを作者は取り入れようとする。パロディネタにしても、流行っているアニメや漫画或いはドラマ、出来事から取ることが多い。もちろん他でもそれはやっていることだが、特にその傾向がライトノベルでは強い。これらの理由は、若い世代が読者であり、最新の情報がすぐに共有されるということが影響している。また、アニメや漫画がパロディとされるのはそれらに興味がある読者が多いからにほかならない。

よって、多くの読者はアニメや漫画が好きで、かつネット文化に触れている若者だろう。だが、作家によってその読者層の年齢は微妙に異なり、西尾維新のように随分と前にヒット作品を出し、その後も作品を出し続ける彼の場合、全体の平均よりも高く25歳ぐらいの年齢層が主な読者であるような気がする。

ライトノベルでは売れ行きがよければすぐにシリーズとし単巻で終わることは少ない。新人賞に完結した形で出された作品も手を加え、さらなる展開ができるようにする。その過程でいささか強引なストーリー展開が見られることもあり、必ずしも良い結果に結びつかないこともある。編集者は良く考えて欲しいものだ。

今のライトノベルは時代の流れもあり、メディアミックスが前提となってきている。好評をうけるシリーズとなったのならば次に漫画化、ドラマCD化、そしてアニメ化と道をたどることになる。漫画化とドラマCD化は前後することも多いがおおかたこのとおりだ。ただし、アニメのノベライズ化などは除く。

ドラマCDまでは人気作ならばやることが多いが、数年前までアニメ化は壁が高かったように感じた。だが最近は状況が変わりアニメ化されるライトノベルが急増した。僕としてはバブルのように感じる。弾けないといいけど。

なぜアニメ化するのかといえば、原作や漫画など関連する商品の売れ行きが話題性により上昇することを狙ってだ。実際にアニメ化が決まってから放映されるまで時間がかかることが多く、そのあいだに購入し読んでもらいアニメの予習だよという名の策略にまんまとはまる人も多い。何度それにはまった僕。ISもそれに該当。

一方、放映が始まってからの売れ行きと放映後の売れ行きの経過は各作品によって異なるるものが多く。放映前のように一律ではなく、また放映前であってもそれは話題性の大小に左右される。ちなみにデュラララとISは放映中も売れ行きが伸びていた。特にISは一週間に既刊の売れ行きがだいたい1万冊ずつ伸びている。にわかには信じられん効果だが。さらにiSには新刊が近日中に出ることが確定しており、その売れ行きも抜群の話題性から期待できるだろう。

前述し、過去のエントリーで書いたとおりインターネットで積極的に触れ合う層がライトノベルの主な読者層であり、アニメ化や漫画化などの情報は早い段階で共有される。これも原作の売れ行きの増大に繋がっていると考えられる。

少々話は変わる。西尾維新の時に説明したように微妙に異なる読者層がライトノベルには存在しているが、これはメディアミックスにおいて影響してくる。バカテスはそのアニメーションの質は高かったが、あまりアニメのDVDが売れなかった。これは読者の年齢が若く、購入するだけの資金が確保できなかったからだろう。ただし、原作の読者以外のアニメの視聴者層もいるので一概には言えないがたぶん加えて視聴者の年齢も若いのだと思う。

まだそれでもバカテスは成功したほうだが、さらに悲惨な例もある。現状のアニメ化の乱立が証明していることはあれだけお金がかかるアニメ化でもそれをまかなえるぐらい莫大な宣伝効果があるということだ。しかしこの効果がいずれ減少するだろうと僕は考えているので、いずれはアニメ化ブームは終わり限られたものがアニメ化されるようになると思っている。


薄さについて。ライトノベルは明らかに薄いものが多い。理由は、刊行速度をあげるためだろう。流行性を強めるためにはそれが必須だ。ただでさえ、流行り廃りのスピードが早くなったネット社会ではさらにその傾向は強くなっている。それに関連する読者層の若者にはその傾向がさらに強く当てはまる。また、それでも厚い作品がたまに出るのは特殊な事情が関わってくる。人気作家であったり、久しぶりの新刊であったりする場合だ。


挿絵の多さについて。俗に字漫画とも揶揄される。個人的には漫画と一般小説の中間にライトノベルは位置していると考えている。これによって世界観やキャラを理解することを助けてくれる。


最後に価格の安さについて述べる。高くても1000円ほど。お金の余裕が無い若者には、高いと買ってもらえないからだ。その値段の付け方は結構シビアころがある。まずは、ページ数。そして話題度。過去のシリーズの売れ行きが関わってくる。分析してみると、レーベルの期待作がわかったりするのでおもしろい。電撃大賞の受賞作は安めとか。たまにはそういうところも見て欲しい。


だいたいこんな感じだと思う。これらは突き詰めていくとあるあるネタになるので形式的なことにとどめる。内容に触れることは今回は除外している。そうでもしないとまとまりに欠く。