「地質 Advent Calendar 2014 - Adventar」の12月1日の記事です.
薄片
薄片は文字通り,薄い片です.スライドガラス上に岩石などから切り出したサンプルが極めて薄い状態で貼られている物.
詳しくは
https://staff.aist.go.jp/takumi-sato/mainpage.htm
チップ切り出し
具体的な作り方としては,対象となるサンプルを用意します.そしてスライドガラスに収まる大きさにするためにサンプルを切り出します.岩石カッターがこれには用いられます.岩石カッターはだいたいの物ならば,切断できます.高速で回転する円形の刃で,岩石の接触した部分を研磨しているようです.そのため,刃に当たる部分は失われます.
岩石カッターで切り出されたサンプルはたいていの場合,薄い板になっていますが.スライドガラスの大きさをオーバーしていることが一般的なので,小型のカッターでこの板を切り出します.この時スライドガラスの形に合わせてチップを長方形に成型するのが普通ですが,自分は上下は平行の直線で合わせますが,左右は平行でないことが多いです.
チップのガラスとの接着面を平にする
切り出したチップを,ろくろみたいなグラインダーと呼ばれる機械でスライドガラスとの接着面を平にします.
円形の円盤が回転する機械で,円盤部に研ぎ粉を塗り,その上にチップを指で固定しながら上下に動かして均一に平になるようにします.研ぎ粉は粗いものから細かい物へと順に取り替えます.各研ぎ粉専用のグラインダーがあることが多いです.120番用,200番用,400番用,800番用といった具合です.各番目での研磨時間は,一チップ数分程度です.ただし目安.120番,200番の方が研磨時間が長い事が多い.
ガラス板上で1000番,1500番の粉をまき,水で濡らした後にチップを板の上に置いて上下に動かすことで磨きます.こうして平になめらかになったチップを水で洗浄後ホットプレートで加熱してチップに含まれる水分を出来る限り取り除きます.乾燥時間は,火山岩だと一時間以上,堆積岩だと出来るだけ長い方がよいです.なぜなら堆積岩は,水分を完全に抜くのに長時間を必要とするからです.
チップ接着
研磨した平らな面に接着剤を塗り,チップを下に置き上からスライドガラスに密着させます.チップとガラスとの間に空気が入らないように注意します.空気を抜くには,ガラスの上から爪楊枝などで円を描いて追い出すなどが一般的ですが,スライドガラスを持ってそれ自身を回転させ動かすというのが個人的にはおすすめです.対象としている物が,そもそも穴が空いているものだと少なからず空気が入ることがありますが,しかたないと断念します.
密着後,チップを下にしてホットプレートで加熱します.ホットプレートの上にアルミホイルを敷いてその上にチップを置くのがベストです.くっついた後で,ひっくり返してガラスを下にします.ホットプレートの温度や加熱時間は説明書をお読みください.接着剤の弱点は水ですので,とにかく水を混ぜないようにします.水が混ざると固まらない,にくいと言われています.固まらなかったら,諦めてガラスを外し,面を再度研磨するのはいいのでは.もしもずれて固まってしまったら,最終手段としてガラスを擦り飛ばすという方法があります.
薄片 下へ続きます.
ここまでは誰でもできるでしょう.問題はここから薄くするところなのです.
ちなみに,薄片制作は教員志望だと地学実習でやるはず.多分.
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